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4. 自立しなさいと言われて

学生時代、実母から毎日のように、「言うことがきけないなら自立しなさい。」と言われていた。
その頃、父は単身赴任で不在だった。実母と妹のいる家には、私の居場所がなかった。

大学入学後、ストレスから過食症と拒食症になった。吐くのが怖くて吐くことはできなかったが、食事を受け付けなくなったと思いきや、甘い物が強烈に欲しくなったり、夜中に冷蔵庫の中を探して、実母に責められた。
摂食障害は、女子高→男子ばかりの大学に進学して環境に馴染めなかったのが原因だと長年思っていたが、今頃になって、実母からの圧力が一番の原因だったのではないかと思うようになった。

大学に入りしばらくして、彼が出来た。
恥ずかしながら、中学高校時代は実母の命令で恋愛禁止だった。好きになった人もいたが、嫌なら自立するしかないし、残念ながらその力はまだなかったので、命令に従うしかなかったのだ。
彼ができてから、実家から逃げるように帰りが遅くなった。
居心地が悪いから家に帰りたくない→帰りが遅いから実母から自立しろと言われる
どこまでも抜け出せない悪循環スパイラルだった。

一方、彼が出来た事で、摂食障害はみるみる間に落ち着いていった。
彼は、自分のありのままを受け入れてくれる存在だと勘違い?していたからかも知れない。

就職して初めての夏休み、実家を出て一人暮らしを始めた。
自立しろ自立しろと毎日のように言われて息のつまる生活は、もう限界だった。早く自立しなければと必死でお金をため、満を持しての引っ越しだった。

私が脱出を決行した夏休み、実母は急に実父の単身赴任先に遊びに行くと言い出し、それを決行した。
決して、私が実母の不在中を狙って引っ越しした訳ではない。
就職してからは長期休暇以外に引っ越しすることは不可能だったので、就職してお金がたまった最初の長期休暇に絶対に引っ越してやる、と我慢しながら準備をすすめていたのだ。

案の定、実母からは、後出しじゃんけんのくせに
「親の不在中に引っ越すなんて。」
「家からお嫁に行って欲しかったわ。」
と散々文句を言われたが、
“こっちは長期休暇に引っ越すしかないんだよ。あんなに自立しろって言いつづけたくせに、あんたの都合なんか知ったことか!”
と心の中で毒づいた。(少しは反論したが、全ては言えなかった)

一人暮らしを始めて、初めて自分の鍵を持った。
考えてみれば、それまで自分の鍵を持ったことがなかった。
家にはいつも実母がいたし、実母が家を空ける時は鍵を「借してもらって」いたのだ。
一部屋だけの自分の城だったが、初めて、自由な空気を思う存分吸い込んだ。
本当に嬉しかった。